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2011年02月01日

eラーニングと映像[34]

 eラーニングと映像、eラーニングで使用する映像を作成するために役に立つ知識・技術について紹介していきます。これまでは概念的なことや技術的なことについて多く述べてきましたが、今回は趣向を変えてそれらを操作・運用する人間の不確定要素について取り上げます。

ちょっと考えるとビデオカメラを扱う仕事というものは楽しいもののようにも感じます。趣味でビデオカメラを保有している人も多いでしょうし、子持ちの方ならばわが子の成長の記録には必須アイテムでもあります。しかし仕事で使用するとなるとなかなか楽しい気分ではいられません。
 どのような仕事でも、実際にそれを行う人と傍から見ている人では苦労の度合いや感じ方は異なります。ここではビデオカメラマンの視点で移動撮影におけるその疲労・心労について考えてみると同時にその仕事内容を洗い出してみましょう。

・肉体的な事項
撮影の種類にもよりますが、重い機械を運搬したり移動させたりすることはよくあります。撮影用機材はカメラ以外に三脚や照明機材、予備のバッテリーやケーブル等も必要です。そして撮影中はフォーカス、アイリスをはじめいろいろな細かい操作が必要です。そしてビデオカメラ撮影ではパンやズーム等の操作をゆっくり一定速度で動かすという日常生活ではあまり行わない動作が必要になります。さらに機材の移動から設置・撮影まであまり時間がないような場合は走ったりもします。このように、力の強い運動と繊細な操作を連続的にこなさなくてはならず体力を消耗します。

・精神的な事項
当たり前の話ですが撮影の目的は映像を記録することです。故に全てはそのために尽力するわけですが、これはカメラ操作に全力を注ぐということにはなりません。その理由は、基本的に小規模スタッフでの撮影ではいくつかの業務を兼任しなければいないことです。カメラ以外では音声・照明、さらには、撮影進行などを担当することもあります。色々なことを実施すれば各パートにおける集中力が散漫になってもきます。
そのような状況でも避けなければいけないミスは「録りこぼす」ことです。撮影順序の変更や時間の制限、テープのエラー、日没、単純な録画ボタンの押し忘れまで録りこぼしの危険は常に潜んでいます。結局は予定の通りに一つ一つ確実に撮影を進めていく以外にないのですが、まさにこれにが精神的な疲労に直結します。
また初めての場所で撮影を行うような場合には何が起こるか予想がつきませんし、その他にも想定外のこともおこります。

このように疲労・心労のもとを洗い出してみると、実はその半分以上がカメラ以外の理由によるところと言えます。eラーニング教材のような小規模の撮影でカメラをはじめ各パートに専任を置くことは難しいですが、撮影の成功のためにはできるだけ業務を分担できることが望ましく、また可能な限り余裕のあるスケジュールを立てたいものです。
これらのことは私の経験に基づいて挙げてみました。なお私が担当する場合、現場でOKを出すディレクター的な立場と機材操作者だけは兼任にならないよう、他のスタッフに協力をしてもらっています。
posted by 開発部OliveDrab at 13:57
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2011年01月05日

eラーニングと映像[33]

 eラーニングと映像、eラーニングで使用する映像を作成するために役に立つ知識・技術について紹介していきます。今回は長時間録画について考えてみたいと思います。

 ハンディカムなどで撮影を行う際、どのくらいの連続で録画できるのかは最も優先して考えなければいけないことです。撮影中にテープが回りきってしまったりメモリーがいっぱいになっては録画が続けられません。テープやカードなら交換すれば良いのですが、交換中は僅かな時間でも記録できませんので公演や舞台など撮影する対象によってはそれも許されません。そこで長時間の撮影を行うのに思いつくのが長時間記録モード(LPモード)の使用です。

・長時間記録モード(LPモード)で撮影すると画像が悪くなる?
 これは記録メディアにより異なります。ハードディスクやフラッシュメモリーなどのランダムアクセスが可能な媒体に記録する場合は、たいてい長時間記録モードにすると標準記録モードに比べて画像は質が低下します。これは長時間記録では転送レートを低くしているためで、逆の言い方をすると限られた容量内で時間当たりのデータ量を抑えて記録するので長時間の録画が可能になるわけです。
 また、このタイプでは標準・長時間といった画質の選択に加えて記録画像のサイズを選択できるものがほとんどです。基本的にハイビジョンサイズよりスタンダード(SD)サイズのほうが転送レートが低くなり記録時間も長くなります。使用目的により最適なモードを選択する必要があります。
 ですが、DVなどデジタル規格のテープ媒体に記録する場合はそうではないことがあります。以前に高い普及率を誇ったVHSなどはLPモード(3倍モード)で録画するとはっきり画質の低下がわかりましたので、テープで長時間記録をすると画質が悪くなるような印象を持つ人も多いかもしれません。ですが全てがそうではなく、細かい話は割愛しますがDVなどデジタル規格のテープ媒体は記録密度を高くして長時間録画を行いますので、基本的に標準記録と長時間記録で画質に差はありません。ただしLPモードで記録すると他のデッキで正常に再生できなかったり、あるいは記録エラーが発生しやすいなどの別の問題が発生することがありますので、残念ながらいいところばかりではありません。

 テープ記録ならばアナログ方式からデジタル記録方式になり、またはハードディスクやフラッシュメモリーなどは大容量化のおかげで以前に比べて連続記録時間はかなり長くなりました。それでも最悪の録画漏れがあってはそれこそ取り返しがつかないことになりかねません。
撮影した映像は編集して、更にweb用にエンコードして使用しますので、使用目的を考慮し最適な画質を考え記録モードを設定して、あわせて連続記録可能時間を確認しておきましょう。
posted by 開発部OliveDrab at 10:21
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2010年12月08日

eラーニングと映像[32]

eラーニングと映像、eラーニングで使用する映像を作成するために役に立つ知識・技術について紹介していきます。前回まででビットレートを主体に画質の感覚値についてお話しを進めてきましたが、今回はそれにもう一つ重要な要素であるコーデックを加えて考えたいと思います。

FlashVideoがwebでみる動画として定着して数年が経ちましたが、実はこの間に通常再生される動画の形式には変化がありました。何が変わったのかと言えばそれは動画の圧縮形式です。圧縮形式が変わったと言ってもwebページを開いて動画再生されること自体は同じですので、視聴する側はこれと言って特に何かを気にしなければいけないようなことはありませんでした。ですが、最近のweb動画は以前よりもきれいになっていると感じた方は多くいらっしゃるでしょう。

新しい圧縮形式「H.264/AVC」と呼ばれる規格でエンコードした映像は、何かのはずみで画面が大崩れを起こすこともほとんどなく、さらに静止画に近い画像でもザラザラ感がなく常に安定した画を見せてくれます。なおこの規格はFlashVideo等のマルチメディア規格だけではなく、デジタル放送やBlu-rayDiscの規格にもコーデックのひとつとして採用されています。

この「H.264/AVC」、きれいな動画作成のためには積極的に使っていきたい圧縮方法ですが、やはりいくつかは注意すべき点があります。まず、それまでのものよりも複雑な方法で圧縮しているため、再生するにもそれなりのパワーが必要です。もう少し判りやすく言えば、古いPC等では伸張の処理が追いつかずにまともに再生できないこともあります。そして再生するためのプレイヤーにも注意が必要です。FlashVideoを例にあげますと、FlashPlayer9以上がインストールされていなければ再生できません。新しい規格のコーデックなのでPlayerもそれに対応した新し目のバージョンが必要と言うことです。

eラーニングで制作するコンテンツは企業内の研修等の用途が多いのですが、対象とする視聴環境、組織・部署の単位で管理の関係などで新しいPlayerがインストールされていないことも多くあります。そのような場合は上質なコーデックといえども仕様の候補からはずさなければなりません。そして考えなければいけないのは、対象環境で再生可能な形式で求められる品質の動画を表示するにはどのくらいのデータレートが必要か、また映像の内容によってはフレームレート、音声の重要度においては動画とのデーター量バランスなど多岐にわたります。

このようにeラーニング動画の制作には関わる人には新旧の技術的な知識と、それら画質についての感覚値を養っていただければと思います。
posted by 開発部OliveDrab at 10:46
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2010年11月09日

eラーニングと映像[31]

 eラーニングと映像、eラーニングで使用する映像を作成するために役に立つ知識・技術について紹介していきます。前回はYouTubeの[Show Video info]を表示して映像の情報をみる方法を紹介しましたが、実際に試された方はなんとなくデータ転送レートと画質の感覚値がつかめたのではないでしょうか。今回はもう一つ情報を加えて話を進めたいと思います。

まず[Show Video info]で見る情報の補足をしますと、3行目の「○○kbps」とある数字が変動していますが、これは可変ビットレートでエンコードされているためです。可変ビットレートについてはこの場ではあまり述べるチャンスがありませんでしたので少し説明します。

可変ビットレート、VBR(Variable bitrate)とは、映像の状態に応じてデーター量を変化させるエンコード方式をといいます。例えば一面真っ黒で文字だけ何秒か表示するタイトルのようなシーンでは、圧縮すれば情報量がかなり少なくなるためこの部分のデーター量をを減らし、逆にカメラを激しく振るようなシーンではデーター量を増やします。ファイル全体を通して効率的にデーター量を使用できるためトータルの品質が良くなるわけです。
なお、それに対して常に一定の情報量でエンコードする方式を固定ビットレートをCBR(constant bitrate)といいます。

このVBRを使用するとCBRに比べて明らかに映像の品質が良くなると感じることがあります。そこで、自分でエンコードするときはVBRを使用してきれいに仕上げたいところですが、VBRはCBRに比べて不利な点もあるのです。

まずVBRはCBRに比べてエンコードに時間がかかります。複雑な処理を行うため当然ですが、更にVBRではエンコード前にどのようにデーターを割り当てるか事前に調べるようなこともできますので、それを行うとCBRの倍以上の時間が必要です。
また再生時間ごとに転送レートが変化しますので、実際にサーバーから送り出した場合に高レートのシーンが続くと転送が滞るような心配もあります。これは変動幅を設定して制御することが可能ですが、適切に設定しないとVBRの効果が十分に得られないか、下手をすると転送レートが高くなっただけのエンコードになってしまいます。そしてやはり複雑な処理を行っている関係で、非力なPCではスムースに再生できない可能性もあります。

このブログはeラーニングが話の中心ですのでそちらへ持って行きますが、eラーニングコンテンツでは画質よりも再生の確実性に重きが置かれることが多いと思います。その観点で考えると現在はまだCBRを使用するほうが安心です。
しかしCBRを主に使用するとしてもVBRの知識と画質の感覚値は持っているに越したことはありません。いくら確実性重視と言っても、PCの高性能化や通信インフラの拡大がさらに進むことで確実性のレベルも今後変化していきますから。

次回はコーデックという要素を加えて話を進めたいと思います。
posted by 開発部OliveDrab at 12:29
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2010年10月13日

eラーニングと映像[30]

 eラーニングと映像、eラーニングで使用する映像を作成するために役に立つ知識・技術について紹介していきます。
前回ストリーミングビデオのデータ転送レートについて述べましたが、○○[bps]という数字は感覚として少々わかりにくいものだったかもしれません。
その理由は普段私たちが使う単位はビットではなくバイトであること、それに[bps](ビット毎秒)は単位であって全体のファイルサイズを表したりするものではないためだと思います。
そこで今回は映像のデータ転送レートについて例をあげて、画質の感覚値をやしなう方法をご紹介したいと思います。

まずおなじみのDVD-Videoは、特殊な作り方をしなければ約2Mbps〜約10Mbpsの転送速度です。パッケージで販売されている映画等は最高画質のことが多いので、まずこれを覚えておくことをお勧めします。10Mbpsのビットレートならば動画はDVDの最高品質です。

次に、YouTubeやニコニコ動画などの動画共有サイトにある動画です。これは動画が登録された時期などによって一定ではありませんが、おおよそ300kbps〜1Mbpsのものが多いようです。

なお少し前までハンディカムの主流だったDVは、DVD-Videoと同じ縦横サイズで約5Mbps、DVD-Videoの最高画質の半分のデーター量でした。
これはちょっと怪しい例ですが、VHSはDVD-Videoの2Mbpsと同じくらいの画質と言われていました。
またハイビジョン規格では、BS・110度CSデジタル放送の標準放送の品質が12Mbps、地上デジタルの放送の品質が15Mbpsです。

ここまでで、だいたいの画質とビットレートの感覚がつかめてきました。ハイビジョンは無視して、かなり大雑把に言うと300kbpsから10Mbpsが普段見ている映像の転送速度です。実際のところ、各メディアでは圧縮形式などが違うため単純にbpsだけで比較できませんが、今回は感覚値で考えますのであまり細かいことは気にしないことにしましょう。

このブログはeラーニングが話題の中心ですので、放送規格やDVD-Videoよりも動画共有サイトと同程度の300kbps〜1Mbpsくらいの感覚値をつかみたいところです。これはできれば自身で動画ファイルを色々な設定でエンコードしながらデータ転送レートの違いがどのくらいの画質に差が出るのかを試していただくのがよいのですが、今回はもう少しお手軽に感覚を磨く方法をご紹介します。

まず、YouTube(http://www.youtube.com/)にアクセスして、できるだけ違うジャンルの動画をいくつか観てください。
いくつか動画を見ていくと、なんとなくキレイな動画とそうでない動画があることが感じられると思います(多分)。
YouTubeではおおよそ300kbps〜1Mbpsの転送速度の動画が多いようですので、その範囲でなんとなくの見当をつけてみます。
見当をつけたら答えあわせです。動画を右クリックして表示されたメニューから[Show video info]を選択してください。
その動画の情報が表示され、転送レートが確認できます。
YouTube_1.png

また、何種類かの転送レートでエンコードされている動画も多くありますので、同じソースの設定による画質の違いもお手軽に確認できます。
YouTube_2.png

インターネットで視聴する動画はテレビと違い画一的なものではありませんので、画質の良い悪いといった基準をつかむことは一種のスキルです。何らか動画の制作に携わる方には、できるだけ色々な種類の映像を観て感覚を磨いていただければ役に立つと思います。

次回は、データ転送レートと画質についてもう少し話しをしたいと思います。
posted by 開発部OliveDrab at 11:11
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2010年09月14日

eラーニングと映像[29]

 eラーニングと映像、eラーニングで使用する映像を作成するために役に立つ知識・技術について紹介していきます。前回までは音声について述べてきましたが、今回はまた方向を変えて、ストリーミングビデオの転送速度について考えたいと思います。

少し前まで動画を再生するwebページでは、どのファイル形式で再生するか、どのビットレートを再生するかなどを選ぶものがよくありました。
「どのファイル形式」と言う話しは今回置いておき、「どのビットレート」では、[高速回線、低速回線]などと書かれてあったり、あるいはもっと直接的に[300k、58k]などと動画の再生速度が書かれていることがありました。

最近のwebはブロードバンド環境で視聴することが前提になっていることが多いためか、このような表示はあまり見かけなくなりましたが、視聴する側も回線速度を気にしなくてすむのはとても良いことです。

ですが、制作する側は今も回線速度を気にしなくてすむわけではありません。きれいな映像を観てもらいたいので高ビットレートで作成したいと思っても、送出サーバーや保有回線のスペックなどを総合的に考えてなければいけませんので、なんでも最高画質に設定するわけにはいきません。

そこで適切な品質を決めなくてはいけないのですが、ここで意外に理解されていないのが転送速度(ビットレート)とファイルサイズです。
こんな質問をされたことがあります。

「500kって、1秒間に何メガ送られるの?」

質問の内容を深読みすればこれに対する返答は色々と思いつきますが、このような質問が出る背景は、先の回線速度を選ぶページにあるような言葉の固有名詞化だと思います。
[高画質 500k]と書かれているページにおなじみの方は、[500k]は高画質だとなんとなくわかるが、実際どの程度の転送速度なのかまでは理解する必要がなかったのでしょう。

まじめに回答すれば、[500k]とは、
[500kbps(500キロビットパーセコンド)]を略したもので、
1秒間に500キロビットのデーターが転送されるという意味です。
「何メガ?」と言う質問に対しては、
1キロ=1024 なので、500k=512000
ファイルサイズは[ビット]ではなく[バイト]を用いることが多いので
1バイト=8ビット なので、512000÷8=64000バイト
1メガバイト=1024キロバイト=1048576バイト なので、
1:1048576=x:64000 として x=0.06103515625 となり
「約0.06メガですよ」となります。

なんだかよく解らなくなりました。
実際のところ、ビットレートをファイルサイズとあわせて考えるのは、「何分のビデオファイルなら何メガバイトくらいの品質が適切です」と言うような説明をするためが多いので、もう少しわかりやすい大きな数字になるとは思います。

次回はいくつかの動画の転送速度を比べながら話しを進めたいと思います。
posted by 開発部OliveDrab at 13:26
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2010年08月18日

eラーニングと映像[28]

 eラーニングと映像、eラーニングで使用する映像を作成するために役に立つ知識・技術について紹介していきます。今回も音声について、音を大きくする方法の続きで今回はコンプレッサーを使用して音を大きくする方法を紹介します。

ノーマライズを使用してレベルを大きくする方法では、波形中のレベル最大箇所が基準になって調整が行われるため、一箇所でも最大レベルに近い波形があった場合はそれ以上音を大きくすることができないことが欠点でした。
この波形中で最もレベルが大きいところをピークと呼びますが、ピークとレベルの限界にある程度の幅がなければノーマライズでは音を大きくできないと言い換えることもできます。

人間の声を録音した場合で考えますが、突然声が大きくなったりすることは良くあります。むしろ録音の最初から最後まで声の大きさに変化なく話し続けることが極稀です。これは録音の話になりますが、突然大きな声が出されてもレベルオーバーしないように、ある程度の余裕を持って(入力レベルを抑えて)おくことが基本です。結果普段の声は小さめで、たまに大きな声が入ってくることになるのです。

普段の声は小さめなのにノーマライズでは音を大きくできない、ボリュームアップでは部分的にレベルオーバーが発生する。そこで今回はコンプレッサーというものを使用してそれを解決します。

まずコンプレッサーとはどのような機能なのかを簡単に説明しますと、ある一定以上の音声信号を強制的にレベルダウンさせるものです。これを先に述べた良くあるパターンにあてて考えみると、通常の小さめの声が出ているレベルではコンプレッサーを働かせない、それ以上のレベルが出現したらレベルダウン(圧縮)するというようになります。これによりピークが下がり、全体のレベルのばらつきが少なくなります。
28-1.png

これにノーマライズをかけると、全体では音は大きくなり、なおかつレベルを振り切るようなことはありません。レベルのばらつきが少なくなったため通して聴きやすい音にもなっているはずです。
28-0.png

今回はコンプレッサーとノーマライズの2段階の処理を施しました。音を大きくしたいという要求はこれで達成され、他に良くない影響を与えなかったはずです。実際の作業はコンプレッサー、ノーマライズとも設定値を指定しなくてはいけませんが、基本的には機械任せの処理になります。それでも、ただ録音したものを使用することに比べれは結構な手間がかかりますので、実際にどの程度の加工が必要かは要求されるシビアさにより異なるでしょう。

なお今回紹介したコンプレッサーは、ノーマライズと同様に多くの波形編集ソフトに塔載されています。ソフトの種類によって呼び名が異なることがあるので注意してください。またコンプレッサーに近い機能を持つものとしてピークリミッターというものもあります。これらの違いや設定項目、また波形編集ソフトではない実機等については、今後チャンスがあれば紹介したいと思います。
posted by 開発部OliveDrab at 12:19
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2010年07月21日

eラーニングと映像[27]

 eラーニングと映像、eラーニングで使用する映像を作成するために役に立つ知識・技術について紹介していきます。今回は音声について、音を大きくする方法の続きです。

 前回で述べた、音声のレベルを上げて音量を大きくする方法では、もとから大きな音がレベルをオーバーしたり、無音に近い部分の音も大きくなるなど、音声を加工することで雑音を発生させてしまう問題がありました。そこで今回は、このような問題を起こさずに音量を大きくする方法を紹介します。前回同様に音声編集ソフトかビデオ編集ソフトを使用します。

・ノーマライズ
 この機能は設定したレベルの範囲内で、振幅量を拡大(縮小)して音声レベルを変更するものです。

ノーマライズ比較2.png

ボリュームを単純に大きくすることと違い、設定した値以上に音は大きくならないのでレベルをオーバーさせることはありません。また、もとから小さい音は大きく変化しませんので、かなり便利な機能です。

このように実はノーマライズだけで、単純なボリューム調整で起きた問題は解決してしまいます。特に録音した音声全体のレベルが低いときにはとても有効な方法です。

しかし、残念ながらこの方法はどのような場合でも使える万能なものではありません。録音の状態によってはほとんど効果がでないこともあります。

ノーマライズ比較ダメ2.png

上の図のように、1箇所でも最大レベルに近い波があるとそこが最大値の基準になってしまい、それ以上は音量を上げることができないのです。
では、このような場合はどうすればよいのか、次回のコンプレッサーを使用した方法で述べたいと思います。
posted by 開発部OliveDrab at 13:13
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2010年06月22日

eラーニングと映像[26]

 eラーニングと映像、eラーニングで使用する映像を作成するために役に立つ知識・技術について紹介していきます。今回は音声について、音を大きくする方法について考えます。

例えば教室授業を撮影した場合や、あるいはナレーション用に音声のみ録音をした場合でも、コンテンツで使用する場合に録音の状態よりも音量を大きくしたいことがよくあります。実は音声も、映像と同様に編集(加工)して使用することが通常で、そのためには音声編集ソフトを使用します。またビデオ編集用ソフトでも基本的な加工は可能です。

100.png
上の図はナレーションを録音した音声ファイルを音声編集用ソフトで表示したもので、表示されている山が大きければ、それだけ音量が大きいことになります。ここで音量を大きくする場合の一番簡単な方法は、レベルそのものを大きくしてしまうことです。

使用するソフトにより呼び名は違いますが「ダイナミクス」「ボリューム」などとされているものが多いようです。これで音量を200%にしてみます。

200.png
前の図と比べて山が上下に広がり格段に大きな音になりました。この状態で保存してコンテンツで利用すれば音は大きくできます。
しかし、この音量200%のファイルには少々問題があるのです。

◆大きな波形は、上下の範囲を振り切っている
 波形の山の頂上が上下に衝突している状態は、本来あるべき情報(上下にはみ出した部分)がなくなったことを意味します。これにより不自然な音になったり、割れて耳障りな「パチン」「ガガガ」という雑音を出すこともあります。ちょっとはみだしたくらいでは大した影響はありませんが、こうなると最低限、再生して確認する必要があります。

◆声のない部分の山も大きくなっている
 一見して山のない部分は声のない無音の部分です。無音と言ってもマイクで録音していますので、周囲の小さい環境音(外部雑音)や録音機材が発生させるノイズ(内部雑音)も合わせて録音されてしまいます。この必要のない音も200%にアップしているのです。これらは元が小さい音なので200%にしても気にならない程度なら良いのですが、状況によってはこれも耳障りな「サー」という雑音に聴こえます。

雑音の発生はなかなかに厄介な問題で、コンテンツの仕組み、映像などそのほかの部分が完璧でも、一箇所耳障りな雑音があるために修正を求められることもあります。
では、この問題の解決のためにはどうすればよいのでしょうか。

実は音声編集ソフトには単純にレベルを上げる以外に音量を大きくする手段が用意されています。それについては次回に述べたいと思いますが、急いで知りたい方、自分で調べたい方は次のキーワードを参考にしてください。

・ノーマライズ
・コンプレッサー
posted by 開発部OliveDrab at 14:32
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2010年05月11日

eラーニングと映像[25]

 eラーニングと映像、eラーニングで使用する映像を作成するために役に立つ知識・技術について紹介していきます。前回まではインターレースに起因する画像表示のブレについてお話しましたが、今回は「シャッター速度を上回る速度の被写体」ということで考えていきます。

今までに何回か出てきた話ですが、ビデオカメラの映像も基本は写真と同じ1枚の画を連続で撮影することです。そして、ビデオカメラは通常1秒に60コマの撮影を行いますので、最も遅いシャッター速度は1/60秒となります。(1/30秒のシャッター速度を実現するビデオカメラも存在しますがここでは除外します) 夜間あるいは屋内等の暗い場所での撮影では、光を多く取り込む必要があるためレンズの「絞り」を開くとともにシャッター速度を遅くします。

例えば、撮影場所が暗いなどの理由でシャッター速度を最も遅くした場合では、1/60秒の間で被写体が動いた分も1コマとして記録されます。1/60秒という時間はそれこそ一瞬のことですが、仮に1秒で画面を横切る被写体があれば約10ピクセル分移動することになり、動きの速い被写体では1コマ単位で観るとややブレた画になります。

これは前回までのインターレースの話とは違い、映像として観る場合には特に問題となるものではありませんが、次のような場合には注意が必要になります。
 ・映像から静止画の切り出しを多用する場合
 ・クロマキー等で背景処理を行う場合

映像から静止画を作成することはeラーニングコンテンツの作成では良く行われますが、一枚の画として使用するならば、たいていの場合ブレのない鮮明な画像が望ましいでしょう。
また、クロマキー等で背景抜きを行う場合は、被写体の動きにより擦れて見えるような箇所は処理が難しくなります。

なお、動きの速い被写体をブレなく撮影するには、シャッター速度を早く設定する以外に方法はありません。そのためには十分な明るさが必要になりますので、しっかりとした照明機器の用意が必要になります。
また、ビデオカメラについては、全ての設定をオート機能で使用することが前提の機種よりも、絞りやシャッター速度を手動でダイレクトに調整ができる業務用カメラを用意できれば色々な環境に対応できるでしょう。
posted by 開発部OliveDrab at 19:04
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