開発部だより 第42回
映像を使用したeラーニング、今回は「映像にPowerPoint等の資料を連動して表示させるタイプ」について考えていきたいと思います。
ブロードバンドと言われる高速回線が普及する前より、eラーニングの世界では映像を使用した教材がつくられていました。この時代、映像をストリーミング再生をするためにはダイヤルアップやISDN接続のナローバンドをターゲットに動画を作成しなければならず、よって画面のサイズの小さく激しい動きのない映像にせざるを得ない状態でした。
そこで、サイズの小さい画像とPowerPoint等のスライド資料を組み合わせた教材が登場したのは必然といえるでしょう。
小さい映像内で講師を写して、図表や要点等は回線に負担の少ないように、テキストや圧縮画像でスライドとして表示します。コンテンツではそれらを連動させて表示しますので、スクリーンにプロジェクターやOHPを表示してプレゼンテーションや授業を行う仕組みがオンデマンド配信で十分に再現できるわけです。
更にこの形式の利点は、プレゼンテーションや対面授業のために作成したPowerPointをeラーニングコンテンツに流用できることでした。
新規にeラーニングコンテンツの制作を講師に依頼する場合、資料を一から準備して下さいと言うのではなく、今まで講義に使用していたスライドを表示しながら講義をお願いしますと言えるわけです。
また講義などをそのまま撮影して、制作の段階で使用されたスライドと組み合わせてコンテンツにすることも可能、これはとても大きな利点でした。
Adobe Presenter
そしてこの形式のコンテンツを作成するためのアプリケーションが多く発表されました。上の画像はそのひとつ「Adobe Presenter」のコンテンツ画面です。
こちらの「Adobe Presenter」はFlashベースのコンテンツで、PowerPointアニメーションのほぼ完全再現、ビデオファイルの自動エンコード、PC接続カメラでの動画撮影、またクイズページ作成など必要十分な機能を備えています。
また「MicroSoft Producer」はPowerPointの拡張ツールとしてライセンス保有者に無償で提供されています。このように各ソフトにはそれぞれ特徴がありますので、実際に導入を検討される場合は用途に合わせて様々な選択肢があります。
このように、細い回線でも有効に動画eラーニングコンテンツを配信できた「動画・スライド連動コンテンツ」ですが、ブロードバンドが一般的になった今日でもその利点はそのままに、現在でも多くこの形式で利用されています。
既にこの形式がeラーニングコンテンツの一形態として定着したこともありますが、必要な情報が単純化されて、見所がはっきりしているところがコンテンツとして有利なのだと考えられます。
制作運営側としても、小サイズの動画のため編集加工などの作業がしやすく、配信に当たってもサーバー規模を抑えられる利点もあります。
また作成の方法によっては、前回紹介しましたビデオのみのコンテンツと混在させることも可能ですので、講義内容及び構成によって、より学習効果の及び運用効率の高いコンテンツを作成することが可能です。
次回もビデオ使用したコンテンツ形式、その他のパターンについて考えていきたいと思います。