よく職場の机の上にフィギアなどのオモチャを置いている人がいますが、なぜそのようなことをするのでしょうか?
仕事でフィギアを使うわけではありませんし、具体的に役立つようにも見えません。
しかし、このようなオモチャには気分を盛り上げて仕事を円滑に行う手助けをする効果があるようです。込み入った仕事や苦手な仕事など、それをネガティブにとらえてはうまくいきません。自分を追い詰めずに適度に休憩をとり、リラックスして行うのがベストです。そして自分の好きなアイテムを傍に置くことは心を安らげる効果があるのです。
このように心理的にサポートする効果は様々な製品のデザインに見られます。文房具などのデザインでも変わった面白いものが最近多いですね。これらは字を書く、紙を切るという本来の役目の他に人の気持ちを楽しくする力が備わっています。
楽しいという状態は発想を豊かにする、集中力をより持続させるなど、人の能力を高める効果があるのです。
このような効果はe-Leaningにも応用できるのではないでしょうか。
レイアウトや色、インターフェイスなどの学習者が楽しく行えるセンスの高いデザインであれば、集中力をより持続させ、印象に残ることで学習効果が高くなると考えています。(もちろん面白くても使いにくいものではいけません)使いやすさを兼ね備えた美しいデザインがあってはじめて優れたコンテンツとなるのです。
これまで本概論では色彩の効果について述べてきましたが、次回より人を楽しくする色彩の応用例を紹介いたします。
『教育とITで企業の経営を革新』
駿台グループのITラーニング専門企業 SATT (エスエイティーティー) が明日をサポートします。
2007年11月07日
2007年10月10日
色彩模写のすすめ
これまで色彩の効果について触れてきましたが、さらに上達するためにお手本を真似ることをおすすめします。
基礎を知ると、他者の作品を色彩の面から解釈する力が備わったことでしょう。
その中でより良いとあなたが感じた作品をまねることで色彩表現の幅を広げることができます。
例えば美術大学では色彩や構図を学ぶために色彩模写が行われています。

優れた絵画から描写表現を省いて、色彩のみ抽出することで、作品に使われた色彩表現を知ることができます。そしてその色彩技法を自分の作品に応用することで表現力が向上するのです。
色の構成は様々です。
色味のないものと色味の強い色,同系色の組み合わせ,鮮やかな色と濁った色,明るい色と暗い色ect.....
もしあなたが目的に沿った組み合わせが見つからない場合は外に出かけてみると良いでしょう。
街を歩いていて気づくポスターなどの広告の色は参考になりますし、何気ない景色も様々な色彩によって構成されています。その中で相応しい色の組み合わせが見つかるかもしれません。
基礎を知ると、他者の作品を色彩の面から解釈する力が備わったことでしょう。
その中でより良いとあなたが感じた作品をまねることで色彩表現の幅を広げることができます。
例えば美術大学では色彩や構図を学ぶために色彩模写が行われています。


優れた絵画から描写表現を省いて、色彩のみ抽出することで、作品に使われた色彩表現を知ることができます。そしてその色彩技法を自分の作品に応用することで表現力が向上するのです。
色の構成は様々です。
色味のないものと色味の強い色,同系色の組み合わせ,鮮やかな色と濁った色,明るい色と暗い色ect.....
もしあなたが目的に沿った組み合わせが見つからない場合は外に出かけてみると良いでしょう。
街を歩いていて気づくポスターなどの広告の色は参考になりますし、何気ない景色も様々な色彩によって構成されています。その中で相応しい色の組み合わせが見つかるかもしれません。
2007年09月11日
白と黒による空間表現
空間を明暗によって表現できることを以前お話しました。
今回は明暗による空間表現方法を詳しく紹介します。
図1は白から序所に黒くなる正方形を一列に並べたものです。
図1
白に近いものよりも黒い正方形の方が画面から飛び出して見えませんか?
これはあなたの視覚が背景の白との対比を距離感に置き換えようとするため起こる錯覚です。
図2
サイズを変更するとさらに距離感を感じやすくなります。
図3
図3の色彩構成は画面左下に行くに従い黒くすることで近く、右上を遠く見える効果をつけています。
このような技法は洋画の絵画技法でよく使われています。
写実主義の画家レンブラントは背景を暗くし、人物の部分を明るく描くことで明暗対比により空間を描いています。
色をつける上でも明暗を意識することで空間を演出できます。
図4
このような効果は様々な場面で応用することができます。
例えば、ホームページなどのテキストも背景との色合いを図りながら制作しましょう。
景色の中で遠くの山よりも近くの樹木の方が目立つように、平面にも空間を作り、目立たせたいものを明暗対比により近くに見せることで閲覧者に注目させることができます。
図5
重要ではない文章は背景との対比を弱くし、テキストを目立たなくします。(図5)
図6
重要な文は対比により前にとびだす効果をつけ、読みやすくします。(図6)
図7
さらにイメージに合った色を加えると分かりやすくなります。(図7)
このように明暗対比とイメージ効果を応用することでより分かりやすい資料を作ることができます。
今回は明暗による空間表現方法を詳しく紹介します。
図1は白から序所に黒くなる正方形を一列に並べたものです。

白に近いものよりも黒い正方形の方が画面から飛び出して見えませんか?
これはあなたの視覚が背景の白との対比を距離感に置き換えようとするため起こる錯覚です。

サイズを変更するとさらに距離感を感じやすくなります。

図3の色彩構成は画面左下に行くに従い黒くすることで近く、右上を遠く見える効果をつけています。
このような技法は洋画の絵画技法でよく使われています。
写実主義の画家レンブラントは背景を暗くし、人物の部分を明るく描くことで明暗対比により空間を描いています。
色をつける上でも明暗を意識することで空間を演出できます。

このような効果は様々な場面で応用することができます。
例えば、ホームページなどのテキストも背景との色合いを図りながら制作しましょう。
景色の中で遠くの山よりも近くの樹木の方が目立つように、平面にも空間を作り、目立たせたいものを明暗対比により近くに見せることで閲覧者に注目させることができます。

重要ではない文章は背景との対比を弱くし、テキストを目立たなくします。(図5)

重要な文は対比により前にとびだす効果をつけ、読みやすくします。(図6)

さらにイメージに合った色を加えると分かりやすくなります。(図7)
このように明暗対比とイメージ効果を応用することでより分かりやすい資料を作ることができます。
2007年08月15日
色彩イメージの演出
色彩の調和は対比によりもたらされる傾向にあることを以前お話しました。
対比には白と黒の明暗対比の他に、色で対比を作ることもできます。
例えば、黄色と黄緑は近い色であり、対比はあまりありませんが、オレンジと青のようにイメージの離れた色を組み合わせることで色相対比をつくることができます。
図1は冷たいイメージと暑いイメージの対比が発生し、互いを主張し合い華やかなイメージを作り出しています。
図1
このような対比は一般に相性が良いと言われていますが、イメージが定まらず画面がうるさくなってしまうという問題があります。
図2
図2ではこの問題を解決するためにオレンジに灰色を加え、オレンジのイメージを抑えています。こうすることでブルーのイメージが際立ち、画面を落ち着かせることができます。舞台演劇で主役を引き立てるためにユニークな脇役がいるように、イメージの異なる色を他方の引立て役に挺することで、深みのある色彩構成を演出することができます。
図3は“赤と緑”、“オレンジと青”を主に使用して作成した色彩構成です。それぞれの色彩が相反するイメージを主張しあい賑やかな画面になっています。全体でトロピカルな感じがします。
図4は青と緑のイメージを主役にし、他の色にはグレイを加えイメージを抑えています。このため画面の雰囲気は涼しいイメージに集約され、静かなイメージでまとまっているのが特徴です。
図3
図4
このように色彩を構成する上で用途により、相反するイメージを画面に組み込むことで複雑なイメージ表現が可能になります。そして構成する個々の色の強弱をコントロールすることであなたが表現したいイメージに、より近づけることができるようになります。
次回につづく
対比には白と黒の明暗対比の他に、色で対比を作ることもできます。
例えば、黄色と黄緑は近い色であり、対比はあまりありませんが、オレンジと青のようにイメージの離れた色を組み合わせることで色相対比をつくることができます。
図1は冷たいイメージと暑いイメージの対比が発生し、互いを主張し合い華やかなイメージを作り出しています。

このような対比は一般に相性が良いと言われていますが、イメージが定まらず画面がうるさくなってしまうという問題があります。

図2ではこの問題を解決するためにオレンジに灰色を加え、オレンジのイメージを抑えています。こうすることでブルーのイメージが際立ち、画面を落ち着かせることができます。舞台演劇で主役を引き立てるためにユニークな脇役がいるように、イメージの異なる色を他方の引立て役に挺することで、深みのある色彩構成を演出することができます。
図3は“赤と緑”、“オレンジと青”を主に使用して作成した色彩構成です。それぞれの色彩が相反するイメージを主張しあい賑やかな画面になっています。全体でトロピカルな感じがします。
図4は青と緑のイメージを主役にし、他の色にはグレイを加えイメージを抑えています。このため画面の雰囲気は涼しいイメージに集約され、静かなイメージでまとまっているのが特徴です。


このように色彩を構成する上で用途により、相反するイメージを画面に組み込むことで複雑なイメージ表現が可能になります。そして構成する個々の色の強弱をコントロールすることであなたが表現したいイメージに、より近づけることができるようになります。
次回につづく
2007年07月18日
色彩演習システム“Impression of color”
本概論ではこれまで色彩のイメージ効果と空間表現について述べました。
作品をつくる上では、他の色との関係により発生するイメージと空間を意識しながら配色を決めることが重要です。今回は色彩構成による配色の練習方法を提案いたします。
ドイツ ワイマールの美術学校“バウハウス”で教鞭をとっていたことでも知られるジョセフ・アルバースは正方形を使った色彩構成による演習を推奨しています。正方形に切り取られた色をパズルのように何通りにも並べ変えることで色彩の組み合わせ効果を学ぶことができます。
“Impression of color”はこの色彩構成をパソコン上で行う色彩演習システムです。画面をクリックするだけで様々な構成を行うことができ、色彩のイメージと空間表現を体験することができます。
大切なことは色彩の難しい知識を学ぶことではなく、経験することです。まず演習を繰り返し行い、今まで気づかなかった美しい構成を発見することが上達への一番の近道となります。なぜならば斬新な優れた色彩デザインは参考書の中ではなくあなたの感性の中に潜んでいるのですから。
作品をつくる上では、他の色との関係により発生するイメージと空間を意識しながら配色を決めることが重要です。今回は色彩構成による配色の練習方法を提案いたします。
ドイツ ワイマールの美術学校“バウハウス”で教鞭をとっていたことでも知られるジョセフ・アルバースは正方形を使った色彩構成による演習を推奨しています。正方形に切り取られた色をパズルのように何通りにも並べ変えることで色彩の組み合わせ効果を学ぶことができます。
“Impression of color”はこの色彩構成をパソコン上で行う色彩演習システムです。画面をクリックするだけで様々な構成を行うことができ、色彩のイメージと空間表現を体験することができます。
大切なことは色彩の難しい知識を学ぶことではなく、経験することです。まず演習を繰り返し行い、今まで気づかなかった美しい構成を発見することが上達への一番の近道となります。なぜならば斬新な優れた色彩デザインは参考書の中ではなくあなたの感性の中に潜んでいるのですから。
2007年07月02日
日本デザイン学会で発表してきました。
みなさんこんにちは@
エスエイティーティー株式会社の柴二号です。
先日浜松で行われた日本デザイン学会研究発表大会に参加して参りました。今回は過去最多の500人が参加し、色彩や教育に関わる研究など180の発表が行われ大変活気ある大会となりました。
地元企業による討論会も行われ、グッドデザイン賞を取得している企業は他の企業に比べ株価が倍近く増えているなどの例が示され、会社発展におけるデザインの重要性が語られていました。消費者のニーズは安値傾向から質を求める傾向にシフトしつつあるようです。
e-Learningにおいてもデザインの力がこれから求められてくると思います。お客様の要望に沿ったセンスのあるコンテンツをデザインしていくことで業界全体の発展につながっていくと考えています。
PS.二号の研究発表は学会HPで公開されているのでぜひご覧ください。
エスエイティーティー株式会社の柴二号です。
先日浜松で行われた日本デザイン学会研究発表大会に参加して参りました。今回は過去最多の500人が参加し、色彩や教育に関わる研究など180の発表が行われ大変活気ある大会となりました。
地元企業による討論会も行われ、グッドデザイン賞を取得している企業は他の企業に比べ株価が倍近く増えているなどの例が示され、会社発展におけるデザインの重要性が語られていました。消費者のニーズは安値傾向から質を求める傾向にシフトしつつあるようです。
e-Learningにおいてもデザインの力がこれから求められてくると思います。お客様の要望に沿ったセンスのあるコンテンツをデザインしていくことで業界全体の発展につながっていくと考えています。
PS.二号の研究発表は学会HPで公開されているのでぜひご覧ください。
2007年06月20日
日本デザイン学会での研究発表について
みなさんこんにちは!
エスエイティーティー株式会社の柴二号です。
今週末23日に日本デザイン学会春季発表大会(静岡)にて“色彩デザイン発想支援システムの研究”の研究発表をさせていただくこととなりました。
本研究は二号が北陸先端科学技術大学院大学に在学中に行ったもので研究内容については今後、色彩力学概論の中で紹介させていただきます。
また研究成果を今後e-Learningコンテンツ制作に活かしていきたいと考えておりますので今後ともよろしくお願いもうしあげます。
エスエイティーティー株式会社の柴二号です。
今週末23日に日本デザイン学会春季発表大会(静岡)にて“色彩デザイン発想支援システムの研究”の研究発表をさせていただくこととなりました。
本研究は二号が北陸先端科学技術大学院大学に在学中に行ったもので研究内容については今後、色彩力学概論の中で紹介させていただきます。
また研究成果を今後e-Learningコンテンツ制作に活かしていきたいと考えておりますので今後ともよろしくお願いもうしあげます。
色彩の組み合わせ効果
色彩力学概論(第3回)
もう30年くらい前の研究になるのですが、美術教師、画家、デザイナー、彫刻家など普段色彩を扱っている300人を対象に色彩の相性を調査した研究者がいました。一人あたり180種類もの2色の組み合わせを提示し評価を依頼した結果、各人の好みにより評価が分散する中、相性が良いと感じる色には、傾向があることがわかりました。
それは2つの色を並べて見た場合、“青と紫”のように似たような色よりも“紺色とクリーム色”のように違い(色の対比)がはっきりした色の組み合わせの方が良いと感じる人が多い傾向にあったのです。
このような結果になる理由には人間の視覚構造が考えられます。
人が“見る”という行為には空間認知という目的があります。道を歩いていて電信柱にぶつからないためには自分と電柱との距離を視覚により把握しなければなりません。そして距離を感じるために必要なのが光と影により作られる“色の対比”なのです。
電信柱の影と背景の色の差が大きいほどそこに距離があるとわかります。もし電信柱と背景が似たような色であればそこから距離を感じることができず不快になるでしょう。
このような空間認識は実験のような平面の色を見た場合にも働き、並べられた色の間に距離感を見出そうとします。その結果、距離感の感じられる対比のはっきりした色の組み合わせの方が自然に心地良く感じたと考えられます。
このような原理はe-Leaningの教材作成にも活かされています。たとえばテキストを並べる上で内容の重要度によって色を使い分け、距離感を持たせることによりわかりやすい画面をつくることができます。白い背景の上では重要度の低いテキストはグレイにして遠く、重要なものは黒などの対比の強い色にすることで近く目立つようになります。(さらに色のイメージを加えることにより内容を的確に伝えることができるようになります)
このように色の対比を利用することで平面に空間を表現することができます。
以上、色彩を扱う上で重要な要素を2つ述べさせていただきました。
次回は色彩を演習により学ぶコンテンツ“色彩デザイン支援システム COLOR”の研究(2007/6/23 日本デザイン学会 春季発表大会にて発表)をご紹介させていただきます。
2007年06月06日
色彩とはイメージである
色彩力学概論(第2回)
色には不思議な力があることをご存知ですか?赤い色を見ると熱いものがこみ上げてくる、緑色には安心感を持つ、など普段なにげなく見ている色によって私たちは感情を動かされてしまうことがあります。このような現象の原因のひとつに色が持っているイメージがあります。赤は炎を、緑は森林を、青は澄んだ空を私たちに連想させ、過去の記憶の中からその時感じた感覚を呼び起こすのです。
実はこのような色彩の効果は様々な場面で私たちの生活に活かされています。会議室にある赤い椅子には議論を盛り上げる効果があり、信号機の緑には運転手の気持ちを落ち着かせる役目があります。
このように色がその場所で使われることには理由があります。そして色の効果をファッションや部屋のコーディネートに活かすことで人生にも彩りを持たせることができるのではないでしょうか。
その際、色の使い方を間違えると誤解を生むことがあるので注意してください。
たとえば、もしあなたが周りの人から“爽やかなイメージ”で見られたいと思っているのに真っ赤な服装をしていて暑苦しい人と思われているとしたら、それは間違った色彩の選択から起こる誤解です。(この場合、コーディネートを水色などの淡い色にすることで爽やかなイメージを人々に伝えることができます)
大切なことは「色彩とはイメージである」と意識することです。目的に合ったイメージを持つ色を選ぶことで相手にあなたの思いを的確に伝えることができます。
このような解釈で世間を見渡してみると、広告などに使われる色彩からデザイナーの制作に込めた思考が見えてきます。コカ コーラの赤や、ポカリスエットの青も色彩のイメージを活用した“企業の商品戦略”なのですね。
また色は他の色と組み合わせることによって複雑なイメージを表現することができます。
次回ではこの色彩の組み合わせ効果について述べたいと思います。
2007年05月23日
色彩力学概論(序章)
色彩力学概論(序章)
はじめに私たちの生活の中には色彩が溢れています。ショッピングモールに並ぶ華やかな色彩は私たちの興味を惹き、公園の木々に揺れる緑は仕事の疲れを癒してくれます。このように私たちは気づかないうちに色彩の効果をうけながら暮らしています。
本プログではそんな色彩の効果を皆さまに紹介し、日々の生活を豊かにする術を提案していきたいと考えています。大切なことは難しい知識を学ぶことではなく、まずは色彩のもたらす効果を知ることです。その中で今まで気づかなかった色彩の使い方を発見することが色彩感覚を豊かにすることにつながると考えています。
本ブログを通して色彩の魅力を知り、作品やファッションなどあなたの日々の生活に活かしていただければ幸いです。