2021年02月09日

「教育」の落とし穴 ~プロ野球編~

こんにちは。マイケルです。

皆様、eラーニングの教材作成は順調でしょうか。
今の時期、来たる新年度4月からのeラーニング講座開講に向け準備をされている担当者様も多いのではないでしょうか。
「教育」「学び」は奥が深く、eラーニング教材においてもただ制作すれば良い、という訳ではなく、教材制作作業そのものよりも「何をどう教えるか」を考える時間、準備の方が長かったりもするものです。
今日は少し趣向を変えて、他の業界の教育、学びに関してお話したいと思います。


新年度、4月と言えばプロ野球開幕の時期でもありますが、このコロナ禍の中、来シーズンはどうなるのでしょうか。
野球ファンの方々からすると、何とか無事球春を迎えられたら…という心持ちでしょうね。
プロ野球の世界では4月から激しいペナントレースが始まります。一軍の選手たちはチームの優勝の為死力を尽くすわけですが、二軍に目を向けるとどうでしょう。
勿論二軍でも試合があって、その結果で順位も決まるのですが、二軍では単純に順位だけを競っている訳ではありません。
二軍は「教育」の場であって、新人や若手の選手に、コーチや監督があらゆる手法を駆使して多くの「学び」を与えているのです。

さて、プロ野球の新人教育の場でひとつ奇妙な事象があります。
それは、アマチュアで素晴らしい成績を残した新人投手が、プロ野球に入ったらとてもコントロールが悪くなり、ストライクが入らなくなってしまう、というものです。
勿論、一流のコーチ陣がその問題を解消しようと、その後様々な教育を実施するのですが…それこそあの手この手で教え、あらゆる指導を試してみる、ということになるのですが、それでも教育は奏功せず、数年経っても問題は解消せずに若くして引退…このようなことが、実は毎年のように起こっているのです。

アマチュア球界で目覚ましい結果を残しプロ野球に入ったエリート、そして教えるのはプロ中のプロであるコーチングスタッフ。
なのになぜこのようなことが起こるのでしょうか。
これには、球界の有識者に加え、いわゆる教育やコーチングの専門家も招かれて議論もおこなわれたことがあります。

上記の原因ですが、今なお色々な説がありますが、まずひとつは「スランプに陥ったアマチュアエリート投手は、実はコントロールが悪くなっていなかった」というものです。
これだけ聞くと奇妙に聞こえますが、一体どういうことでしょうか。
一般的に、プロ野球のストライクゾーンはアマチュアのそれと比べて「狭い」(ストライクのジャッジが厳しい)と言われます。
同じコントロールであれば「以前よりストライクが入りづらい」ということになり、コントロールが悪化したように見えます。
加えてプロの打者は選球眼が良く、少し外れたボールを振ってくれたりしません。
さらに、試合で対戦する打者の全員が、当然ですがアマチュア時代と比べ数段レベルの高い打者ということになり、新人投手は打たれることを恐れるあまりストライクゾーンの中心付近に投げづらくなってしまいます。
これらの要素が負の相乗効果となり、思うようにストライクが取れず「あの投手はコントロールが悪くなってしまった」と第三者からは見えるということらしいのです。

しかし、試合で実際にストライクが入らないので、指導者達はこぞって金の卵に指導をします。
そもそも野球の投手のピッチングメカニズムは複雑で、少しバランスが崩れると途端に思うように投げられなくなるそうです。
色々な意見、指導が入ると、その数多いアドバイスをひとつひとつ深く消化する時間もなくなり、
少し変更を加えてはまたあらたな変更をおこなう…結果、気付いたときには根幹の部分も大きく狂っている。コントロールはおろか、球速まで随分遅くなってしまう、そういったことも珍しくないようです。

メジャーリーグでも活躍した大投手の野茂英雄氏は、21歳でプロ野球に入る時「フォームをいじらないこと」を入団の条件にした、という話もあります。
良かれと思って実施する教育が、個性や長所を殺す可能性もあるということですね。
業界は違えど、同じような危険性が私たちの「社内教育」にもあり得るのではないでしょうか。
社員それぞれの長所や個性を伸ばすことのできる教育実施を心掛けたいものですね。
SATTでも教育に関する様々な知見を集め、eラーニングの運用支援や各種開発に生かしていけたらと思います。


■eラーニングに関することは、何でもお気軽にお問合せ下さい。

http://satt.jp/company/contact.htm
posted by マイケル at 10:26
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