本日は大学受験、入試の話題ということで「高大接続改革」に関してお話させて頂きます。
来たる2020年、日本の高等学校教育及びに大学入試に大きな変化が起こります。
大学入試センター試験が「大学入学共通テスト」に変わるのです。
その昔あった共通一次試験からセンター試験に移行した時以上の大改革が現在おこなわれようとしていますが、学校法人を母体にもつ私たちSATTにとっても大きな関心事で有り、一部は頭を悩ませている事柄でもあります。
(※英語でも2020年度から、民間の資格・検定試験を共通テストに代わる試験として認定する等、大きな変更が予定されていますが、ここでは国語と数学に関してお話します)
来月(2018年11月)、大学入試センターは全国で10万人規模の調査を実施して最終的な内容を決めると言われていますが、今明らかになっている方針では国語と数学で記述式の出題をおこなう、となっています。
マークシート式だけでなく、自分の考えをまとめて論述するような問題を用意し、今までの知識偏重、暗記中心の出題傾向を打破し、自ら答えや新しい価値を生み出す力を問いたいとのことです。
この発想自体は素晴らしいのですが、課題も多くあります。
最も大きな問題は「採点の手間」が非常に大きくなることですが、それを原因としてさらにいくつかの懸念が発生します。
以下に列記してみましょう
1.いかに採点の公平性を担保するか
採点の手間がとても大きくなる為、記述式問題の採点作業は大学入試センターでおこなうことが出来なくなり、それらは民間企業に委託されます。
50万人以上が志願する共通テストで、複数の企業に委託することとなりますが、各社にいる全採点担当者で採点基準を統一するのは思いのほか難しく、大変な作業となります。
2.いかに受験データの安全性を担保するか
これからは、大学入試センターの外に受験データが持ち出されることになります。
受験生の一生を左右するデータとも言えますので、漏洩が起こらないよう、より厳重な管理が求められるようになります。
また、データの改竄(不正入試や人為的なミス等)や誤消去等への対策も必要となります。
3.受験時期、採点期間の問題
記述式は採点に時間がかかるため、1月に実施するマークシート式の試験と試験日を分けて、数カ月早めることも当初検討されてもいました。
しかし、高校側から前倒しに反対する声が強く、結局「試験日は現行と同じく」ということで1月中旬となりました。
とりあえずはこのようになりましたが、短期間採点によるひずみは今後も様々な危険を誘発すると懸念されており、これからも議論のあるところでしょう。
私たちSATTは、企業や官公庁向けにeラーニングのソリューションを提供していますが、駿台グループ内の業務では入試関連のデータも取り扱っております。
私たちも、受験に携わる者として、考え得る様々なリスクや問題点を事前に検知しクリアしようと日々努力しております。
日本全国の受験生やその親御さんに喜んで頂けるその下支えを引き続き務めていければと思っております。