2013年05月28日

「Tin Can」と言う規格

5月23日(木)、elc主催のSCORM 技術者コミュニティで「Tin Can」についてのセッションが開かれました。

次期SCORM規格と言う事で動向が注目されていた事もあり、会合は満席でした。

第1部では、BBTの原さんがASTD Tech Knowledgeの参加報告として海外の「Tin Can」事情を説明して頂きました。
第2部では、千葉工業大学の仲林さんが「Tin Can」の位置づけ・意味について説明して頂きました。

当初から「Tin Can」の策定に当たり、PJメンバーは、
・SCORM2004が普及しなかった反省を踏まえ、より一般的な思想を取り入れる
・時代の変化に柔軟に対応する事を念頭に規格化する
・より幅広く採用される事を主眼にしている
など、SCORMの負の側面の改善を意識して規格化を推進したそうです。
その延長線なのか、「Tin Can」はADLが民間企業に外注して規格化と推進を行っているとの事でした。

さて、「Tin Can」の規格はと言うと、
・LMSに依存しない
・Webブラウザに依存しない
・学習コンテンツを限定する様な仕様を作らない
などなど、正にSCORMじゃない発想が取り入られています。
もうこの時点でSCORMの次期Verでは無く、全くの別物と言う印象を受けました。

で、「Tin Can」規格の肝心の中身はと言うと、
何より“データのやり取り”を中心に、
様々なデータをLRS(Learning Record Store)に格納し、参照する為のAPI仕様
になっています。

ココでPOINTとなるのが、“データ(学習記録)”と“LRS”です。

まずは、“データ(学習記録)”ですが、その正体は「JSON&REST」です。
そして、“LRS”は、そのデータを保持する為の「格納領域」で、データの出し入れは自由となっています。


つまり、PCやスマフォで受講した学習データは「JSON&REST」フォーマットで「LRS」に格納され、何かの分析アプリは「LRS」から「JSON&REST」フォーマットで必要な学習データを取り出せる様になる訳です。

ゆえに、学習端末やLMSに依存しない学習機会の提供が可能になると言う事になるのです。

カンの良い人はこの時点でピンと来るでしょう。
そう、「Tin Can」規格は“ FaceBook、mixi、GREEなどがやっているデータ共有 ”と同じ思想なのです。

例えば、「F2Cブログにブログ記事を投稿したら、自動的にmixiの日記にも転用される」様に、学習記録データを1つのプラットフォームに限定せず、ソーシャル的に共有する様にするのが「Tin Can」の仕様であり、狙いだと自分は理解しました。

SCORM規格から見たら、すごい規格のスリム化で、eラーニング系のエンジニアはむしろやり易くなるだろうと思います。
その証拠に、SCORM1.2の369ページに対し「Tin Can」Ver1.0の規格書は85ページしかありません。

しかしながら、「Tin Can」の登場は単純な規格の変更に留まらず、今後のeラーニング・ビジネスに革命的な変化をもたらす可能性を秘めていると筆者は感じています。
なぜなら、競争の土台が“教材や環境の様な学習機会の提供”から“体験と共感と言ったサービスの提供”に移るからです。
そして、「Tin Can」はそれを下支えする発想から仕様化され、今後も改善されていくと思われます。

あとは「Tin Can」が普及するかですが…、原さん曰く、海外でもまだ様子見ムードなようでした。
posted by ヤマモトヤマ at 16:36
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