まず[Show Video info]で見る情報の補足をしますと、3行目の「○○kbps」とある数字が変動していますが、これは可変ビットレートでエンコードされているためです。可変ビットレートについてはこの場ではあまり述べるチャンスがありませんでしたので少し説明します。
可変ビットレート、VBR(Variable bitrate)とは、映像の状態に応じてデーター量を変化させるエンコード方式をといいます。例えば一面真っ黒で文字だけ何秒か表示するタイトルのようなシーンでは、圧縮すれば情報量がかなり少なくなるためこの部分のデーター量をを減らし、逆にカメラを激しく振るようなシーンではデーター量を増やします。ファイル全体を通して効率的にデーター量を使用できるためトータルの品質が良くなるわけです。
なお、それに対して常に一定の情報量でエンコードする方式を固定ビットレートをCBR(constant bitrate)といいます。
このVBRを使用するとCBRに比べて明らかに映像の品質が良くなると感じることがあります。そこで、自分でエンコードするときはVBRを使用してきれいに仕上げたいところですが、VBRはCBRに比べて不利な点もあるのです。
まずVBRはCBRに比べてエンコードに時間がかかります。複雑な処理を行うため当然ですが、更にVBRではエンコード前にどのようにデーターを割り当てるか事前に調べるようなこともできますので、それを行うとCBRの倍以上の時間が必要です。
また再生時間ごとに転送レートが変化しますので、実際にサーバーから送り出した場合に高レートのシーンが続くと転送が滞るような心配もあります。これは変動幅を設定して制御することが可能ですが、適切に設定しないとVBRの効果が十分に得られないか、下手をすると転送レートが高くなっただけのエンコードになってしまいます。そしてやはり複雑な処理を行っている関係で、非力なPCではスムースに再生できない可能性もあります。
このブログはeラーニングが話の中心ですのでそちらへ持って行きますが、eラーニングコンテンツでは画質よりも再生の確実性に重きが置かれることが多いと思います。その観点で考えると現在はまだCBRを使用するほうが安心です。
しかしCBRを主に使用するとしてもVBRの知識と画質の感覚値は持っているに越したことはありません。いくら確実性重視と言っても、PCの高性能化や通信インフラの拡大がさらに進むことで確実性のレベルも今後変化していきますから。
次回はコーデックという要素を加えて話を進めたいと思います。