前回で述べましたように、画面のサイズを小さくしたり、秒あたりのコマ数を少なくしたり、色数を少なくするなどで情報そのものを間引きすれば動画のファイルサイズは小さくすることが可能でした。しかし考え方として、これはむしろアナログ的な要素でのことです。フイルム動画で考えるとわかりやすいので例に出しますと、16ミリフイルムより8ミリフイルムのほうが大写しにした場合の粒子の細かさは劣りますが、省スペースですし、毎秒24コマで撮影するより16コマで撮影したほうが長い時間撮影できます。
これにデジタルデーターならではのファイルサイズ削減方法を加えます。
・空間圧縮、時間圧縮
動画中の1コマという範囲で行う圧縮を空間圧縮、複数のコマを使用して行う圧縮が時間圧縮です。動画ファイルでは1コマをフレームという単位で呼びますのでそれぞれフレーム内圧縮、フレーム間圧縮ともよばれます。
空間圧縮では、動画の中に連続して存在するフレームの一枚画の範囲で情報を削減します。技術的なことにも少し触れますが、まず画像を8x8ピクセル程度のブロックに分けます。これをブロック単位で周波数としての情報に変換し、この情報を削減します。この方法は静止画のJPEG等で使用されるもので動画でも使用されます。

時間圧縮では、連続するフレームの差を比べて情報を削減します。これはさまざまな方法があるのですが、動画の1つのフレームを基準に考えると、その前後のフレームと同じような画であることが多いため一つ前のフレームとどう変化したのか、さらに進んで次のフレームではどのように変化すると予想されるのかなどの計算します。大雑把な話、前のフレームと全く同じ画ならば全画面前のフレームと同じという情報さえあればそれで1フレームの情報となります。動きがあったとしても一部なら、その動きがあった部分の情報があれば良いわけです。
簡単にではありますが、以上のような方法でデーター量を少なくできることがお伝えできたのではと思います。次回は圧縮と再生のための伸張について述べたいと思います。