私たちが目にする画像や映像は、デジタル記録方式ならば通常それは圧縮された画像・映像だと思って良いでしょう。最近はアナログ記録の映像・画像を観る機会はかなり少なくなったと思いますので、大抵は圧縮されたものを観ていることになります。なおテレビ局など大がかりな放送施設では非圧縮のデジタル記録編集機材で構成されたシステムを保有していますが、ニュース映像など野外で撮影・記録されたデジタル映像の多くはその時点で圧縮が行われますので部分的にでも圧縮された映像を観ることになります。
しかし普通にテレビやDVDビデオを視聴している限り、映像の圧縮というものを気にして観ている人は多くはないでしょう。もし意識している人は、何らか圧縮の勉強をした人か圧縮で苦労した人だと思います。このように通常の視聴者には意識されない圧縮は、逆にそれを考えなければならなくなった場合苦労が必要になります。そこで今回から数回にわたり、画像・映像の圧縮についての基本的な方法や考え方を述べたいと思います。
まず最も基本的なことから確認するために映像ではなく画像で考えます。圧縮された画像(写真など)はファイルサイズを小さくすることができます。ファイルサイズが小さくなるとデーターの送受信や読取り書込みの量が減りますのでそれだけで色々と効率が良くなります。また圧縮された画像と非圧縮の画像でファイルサイズ同じだけ使用できるならば圧縮された画像のほうが高解像度にできます。
インターネット環境、回線速度が全体的に遅かった一昔前では現在よりもファイルサイズが小さくなると言う事はとても重要でした。またメディアに記録する場合でも、記録容量の少ないフロッピーディスク等が主だった時代ではサイズの大きいファイルファイルは扱いが大変でした。そのような理由でwebで表示する画像は[jpeg]、[gif]といった圧縮された形式が黎明期から使用され、ブロードバンドが普及した現在でもその有用性は変わらず使用されています。
これは映像についても同じことが言え、転送するにも記録するにもファイルサイズは小さいほうが有利です。画像に比べ一般的にファイルサイズが大きくなる映像ではさらにそれをしっかり考えなければいけません。そして現在までさまざまなの映像圧縮形式が登場し、効率良くファイルサイズを小さくしてくれるようになりました。
と、ここまでは圧縮バンザイと言ったところですが、良いこともあれば悪いこともあるのはこの世界でも変わりません。基本的には利点と問題点を秤にかけて、時代の変化に合わせてより有利な方法を色々な人がさまざまな価値判断で選択してきたのが映像圧縮とその普及です。その複雑で多様化した映像圧縮について、ユーザーレベルで基本的な理解が得られるよう具体的な内容を含めて次回以降進めさせて頂きます。