開発部だより 第55回
eラーニングと映像、前回に引き続きeラーニングで使用する映像を作成するために役に立つ知識・技術について紹介していきたいと思います。今回はPC動画で使われる用語という題で考えていきます。
専門分野になればなるほどその分野に係わりのない人にはわからない用語が多くなり、映像制作はその最右翼のようなイメージがあります。これは専門分野という以外の要素で、その業種特有の慣例や業務によって生まれた言い回し等もありますが、今回はそういう「バミッたり、ワラッたり、ヤオヤにする」話ではなく、好むと好まざるとに関わらず映像作成について何らか係わりを持つ人が知っておいて損はない用語についていくつか挙げたいと思います。
・ロケハン
「ロケーションハンティング」の略で撮影を行うための事前の調査を言います。簡単に言えば「下見」です。撮影は明るさや機材設置のためのスペースなど、事前に様子を理解できていれば失敗のリスクは減るので下見は重要であり、それらの総合的な調査のことを言います。
・ENG
「Electronic News Gathering」の略で、もともとニュースの映像撮影をフイルムカメラで行っていたものをビデオカメラで行うようになってできた言葉。現在は特殊な目的がない限りフイルム撮影は行われないが、ただ単にハンディ型ビデオカメラで撮影に行くことをそう呼ぶ人もいます。
・完パケ
「完全パッケージ」の略で、全ての編集が終了してこれ以上は手を加えないという状態のテープ(ディスク)。ビデオ映像は編集により完成に持っていくものなので、作業途中のものなのか完成品なのか明確に区別するために良く用いられる言葉。
・プレミア
Adobe Systems社のビデオ編集用ソフトウエア「Adobe Premiere」のことを単に「プレミア」ということが多い。「Adobe Premiere」は業務用ビデオ編集ソフトの草分け的存在で「パソコンでビデオの編集=プレミア」と解釈している人も多い。コピー機を全てゼロックスと呼ぶ人がいるのと同じ。
・スーパー
「superimpose」の略、映像に字幕や図形等を重ねる効果のこと、他にも「テロップ」という用語もある。もっと単純に「字幕」と言ってもらえば通じやすいが、文字以外の情報を重ねることがあるためストレートには意味が通じなくなる。
・NTSC
「National Television System Committee(全米テレビジョン放送方式標準化委員会)」の頭文字をとったもので、一般的に用語単体では日本のカラー放送方式(NTSC-J)のことを言う。通常は意識をする必要のない規格だが世界には他の放送方式(PAL、SECAM)もあり、外国のビデオテープを素材にしたいような場合は注意が必要。
また、ハイビジョンに対するそれまでの方式としてこの単語が使用されることもある。
・アンダースキャン
テレビモニターの表示方式のひとつ。通常テレビでみる映像は四辺が少し切られ狭くなっている。これを記録された映像を切られずに表示する方式を「アンダースキャン」という。パソコンで映像を見る場合、通常はこの「アンダースキャン」の状態で表示されるため、映像ソースによってはアナログテープ用の記録信号が表示されてしまったりして具合が悪い。
また、撮影を行う場合はビューファインダーが「アンダースキャン」でない場合は被写体の撮影サイズなどに注意が必要になる。
これらはほんの一部ですが、撮影を依頼する場合やPCで視聴する映像を制作する場合によく使用されると思われる用語を取り上げました。専門用語といっても会話中は前後のつながりから意味を推測できるものもありますし、もとの言葉を略したものも多いので、説明があれば理解は早いと思います。
なので、契約や日時等に関する内容で大事な話の最中に、不明な単語が出たらどんな意味なのか聞くのが良いでしょう。IT業界全般でもそうですが、業務で専門用語が飛び交うのは決して格好をつけているからではなく、話がストレートに伝えるためや他に適当な用語がないのが理由ですので臆すことはありません。
次回は視点を戻して、映像で用いる音声について述べたいと思います。