開発部だより 第52回
eラーニングと映像、前回に引き続きeラーニングで使用する映像を作成するために役に立つ知識・技術について紹介していきたいと思います。今回は映像編集の続きです。
ビデオにおける編集とは素材映像を、視聴者向けとして不都合のないように構成することです。最も基本的な編集は素材から不必要な部分を除いて必要な映像を繋げるカット編集といわれ、映像の制作にあまり縁のない人でもその言葉は聞いたことがあるかも知れません。
簡単な例では、録画の前後の予長やNGテイクを取り除くことがそれになります。これだけ聞いても大した話ではありませんが、これを行ったものと、そうでないものでは、人に見せるものとして全く質が変わることはおわかりだと思います。
ここまで話は簡単ですが、実際の編集は誰でもできることではありませんし、もちろん誰もができなければいけない事でありません。そこでここでは技術等の話ではなく、編集を依頼する場合に知っておくと良い事柄についていくつか述べたいと思います。
素材
素材とは、映像(場合により静止画や音声の事もある)が記録されているメディアやファイルのことを指しますが、二つに分けて考えたいと思います。どこでも通用する用語ではありませんが、ここでは次の二つとします。『完成素材』、既に編集済みの映像になっている素材で、例えばテープ媒体からPCで再生するファイルに変換するための素材です。どの部分を使用して、どこをカットするのか等の指示が必要ありません。
『編集素材』、使用するに当たって編集が必要な素材です。つまり、この素材を元に編集を実施してくださいと言って渡す素材です。
タイムコード
素材がテープ媒体の場合に気にする必要のある項目です。業務用の記録テープやデジタル記録式のテープでは再生位置を記録するタイムコードというものが映像と同時に記録されます。つまり、タイムコードで再生位置を指定すれば、どのメーカーのどのデッキで再生しても同じ位置が再生(頭出し)できる訳です。これに対して同じような時間表示としてタイムカウンターというものがあります。これはテープと同期して表示されるタイムではないので、実際の再生時間とずれたり、途中でリセットして「0」にすることもできてしまいます。
タイムコードとタイムカウンターは、その違いを知らない人には同じものにしか見えません。編集に必要なタイムを指定する場合等は、タイムコードでないと正確な指示になりませんので注意が必要です。
カットポイント
カットという言葉から受ける印象では、単に分割したり、不要な部分を切り取るように捉えられますが、この場合は『ここから、ここまで』という区切りの一つをカットといいます。編集の指示に用います。通常は前述のタイムコードで指定することになりますが、例としては、開始[00:10:30.15]〜終了[00:12:10.00]のように開始位置と終了位置を指定します。
この例でわかるように、不要な部分を抜くための指示ではなく、必要部分を抽出するための指示を出すのが一般的です。これには色々と理由があるのですが、「要らない部分をここだ」と言われるよりも、「ここが必要だ」と言われたほうが作業として間違いが少なくなると想像していただきたいと思います。
以上の三点『素材』『タイムコード』『カットポイント』が理解できていれば、編集のための指示を出すのに役立つはずです。なお、編集素材がPCで再生できるファイルの場合は、タイムコード・カウンターについては考慮する必要はありませんが、DVD-Video等が素材の場合は、メニュー構成の影響で同じ場所を再生しても表示されるタイムが異なることもありますので、状況に応じた注意が必要です。
次回はPCで映像を見せる方法について述べたいと思います。